Vol.26 医療DXについて考える
昨今、様々な分野でDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが進んでいるが、それは医療においても同様である。
私が興味を引いたのは、「治療アプリ」なるものだ。
治療を目的としてスマートフォンなどの汎用デバイスにインストールされたアプリのうち、その効果を立証し、医療機器として承認されたものは治療アプリと呼ばれるようだ。
現状で保険適応となっているアプリは禁煙領域と高血圧領域であるが、他の分野でも続々と開発が進んでいるようである。不眠、抑うつ、禁酒、そして婦人科領域ではPMSや月経困難症に対する治療アプリも出てくる未来はそう遠くなさそうだ。
さて、医療DXは加速して、便利な道具が増えていく一方で課題はなんであろうか?
これらの新しい道具を使いこなすには柔軟でかつパソコン、スマートフォンに日頃から触れるというある一定の操作能力が必要であろう。20代なら造作もない作業かもしれないが、40代、50代となると結構難しいはずである。直観的な操作が、己が若いころには存在しなかったものであるので、簡単なように見えて簡単ではない。
つまり、本来であれば医師として素晴らしい経験と能力を培っている年代層で、情報から判断することはスペシャリストであったとしても、その膨大な情報に正しくアクセスするのが困難を極めるのではないか。
これは自分自身に対する危惧である。
医療は常にアップデートしなくてはならない領域ではあるが(すべてにおいて言えるかもしれないが)、医療の進歩の加速は本当に早くなっているように感じる。
10年後、20年後も今と同様に情報や手技の獲得についていけるであろうか。
悩みはつきない。