Vol.31 新薬!月経困難症治療薬「アリッサ」とは?

Vol.31 新薬!月経困難症治療薬「アリッサ」とは?

さてこの度、月経困難症治療薬【アリッサ】が当院でも処方可能になりました。
経口のLEP製剤というものはどんどん種類が出てきますが、今回もそのニューシリーズになります。
今までいろんなピルを使ってきたけれど今だに合うピルに巡り合えていない方はお試しするのもいいかもしれません。
アリッサとはどんなお薬なのか、下記に紹介します。

1. アリッサの特徴
アリッサ®配合錠は、天然型エストロゲンであるエステトロール(E4)と合成プロゲスチンであるドロスピレノン(DRSP)を配合した新しい月経困難症治療剤です。
エストロゲンには種類があり、E1(エストロン)、E2(エストラジオール)、E3(エストリオール)がこれまでよく知られていますが、4番目のE4(エステトロール)が存在します。E4は、エステトロール(E4)はこれまでのLEP製剤(低用量ピル・超低容量ピル)にはなかった成分であり、もともと胎児の肝臓で発見されました。E2よりは弱くE3に近いエストロゲンアンタゴニスト活性を有し、膣、子宮内膜、脳下垂体にエストロゲン活性を作用するものの、肝臓、凝固系、乳腺への影響が少ないとされています。
2. エストロール(E4)の特性とメリット
• 特徴1 血栓症のリスクが低用量ピルより比較的低い可能性がある LEP製剤の重大な副作用として血栓症があります。時として命に関わることがあります。アリッサは凝固系への影響が比較的少ないためこのようなリスク背景のある方(肥満、血圧が高めの方、35歳以上、喫煙者など)でも比較的安全に内服できるといえます。
• 特徴2 肝機能障害が出にくい これまでのLEP製剤に比べて、肝臓への影響が少ないことが知られており、肝機能障害がでにくいことが期待されます。
• 特徴3 乳がんリスクが低用量ピルより比較的低い可能性がある これまでの低用量ピルは、乳房上皮細胞を増殖させる影響があり、乳がんリスクが高くなることが懸念されていました。アリッサに含まれるE4は乳房上皮細胞の増殖を抑制する働きがあり、乳がんリスクを回避できる可能性があります。ただし、乳腺への影響が少ないというもののエストロゲン依存性悪性腫瘍の場合いは投与はできません。
• 特徴4 アンドロゲン作用がない ドロエチ、ヤーズフレックスと同様のドロスピレノン(第4世代プロゲステロン)を配合させており、ドロスピレノンには男性化作用がない特徴があり、ニキビの改善やむくみの改善などの抗アンドロゲン作用があります。また、女性の薄毛にも効果があります。
3. アリッサの適応と使用方法
アリッサは、LEP希望の方でも、これまで血栓リスクのある方(肥満、35歳未満で喫煙されている方)でピルが使いにくかった方に適応があるといえます。
4. 費用について
お薬代は3割負担の方で約1517円/月(診察料処方料等別途かかります)で、比較的安価な薬価設定となっていることも嬉しいポイントです。
5. まとめ
アリッサは、従来のピルとは異なるエストロール(E4)を使用した新しい月経困難症治療薬です。乳がんリスクや血栓リスクの低減が期待される点が大きな特徴であり、今後の臨床結果によってさらにその有用性が明らかになっていくことでしょう。月経困難症の治療を検討されている方は、医師と相談しながら最適な選択肢を見つけることをおすすめします。

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