vol.4 オンライン診療を有効に活用するには

vol.4  オンライン診療を有効に活用するには

コロナ禍という社会現象により、オンライン診療はやっと火をつけたと言っていいでしょう。しかし仮にコロナというものがなかったとしても、文明の進歩の加速を鑑みれば、人間の考える便利で効率のいい理想的な社会において、遠隔治療というものはいつしか必ず求められ実現し、その姿はどんどん進化していくことは容易に想像ができることから、近い未来どう考えてもオンライン診療の需要が広がることは当然のことと思われます。

つまり、今時成人のほぼ全員がスマフォを持っている時代、オンライン診療はそのうち誰もが必ず利用することになるはずです。

特に、婦人科のピル処方に関しては、オンライン診療との組み合わせは非常に良いと言えます。なぜなら、健康な若い女性が相手になるからです。これが、今にも死にそうな老人であれば、話が変わってきます。オンライン診療では、顔色の細部や汗の滲み具合、ちょっとした息遣いの荒さなど、実際に対面しているときに五感で得られる情報の多さにはやはり敵わない部分があり、またそういった時にすぐに治療を施せないということが、どんなに便利なオンライン診療といえど普及に歯止めがかかる原因と言えました。ただし相手が若い健康な人であれば、処方の途中で容態が急激に変化する可能性は極めて低く、何か異常が起これば、自分でその異常を認知し、受診を考慮する時間的余裕や体力、判断できる知恵もあります。
何度も言いますが、オンライン診療は婦人科と非常に相性が良いのです。相手が若い女性というのは、スマートフォンの操作一つをとってもそうですが、テレビ電話をつなぐことができないという元も子もないような障壁も取っ払ってくれます。これは嘘のような話と思うかもしれませんが、年代によってはテレビ電話の通話ボタンを探すのに30分もかかって結局通話できないなんていうことが起こりうるのです。

さて婦人科におけるオンライン診療を有効に活用するには、どこのオンライン診療を受診したら良いか検討する必要があります。
私からみて、確実に明確に言えることは、保険診療を行っている婦人科専門医によるオンライン診療が受けられるところを受診するべしということです。つまりいち婦人科クリニックがオンライン診療も取り扱っているところの方がきちんと責任の所在がはっきりしており、また値段も適正であると言えます。それとは反対に定額制で自費診療のみを謳っているサイトもありますが、自費診療というのは、医療の根幹を担っていないと言ってしまうのは極端かもしれませんが、医学生として長いこと医学の勉強をして、研修医として社会に出て、大学病院で臨床を学んだことのある多くの若き志の高い医師達は、自費診療だけのオンライン診療と聞くと眉を顰める人が多いのではないかと思います。

次に大事なことは、オンライン診療で処方を受けながらも、不正性器出血など何か異常を認めた場合にすぐに受診できる場所があることです。ピル内服中の不正性器出血は問題ないことが多いですが、それでも背景に、異所性妊娠、正常妊娠、腫瘍性病変、感染症などが隠れている場合があるため、それらを否定してあげることが大切です。

当院は、渋谷の駅から数分のアクセスの良い場所ですので、何かあった場合にはいつでもすぐに診察します。
またピル内服中は、年に1回ほど、血液検査、超音波検査、子宮頸がん検査を推奨します。会社の健康診断や人間ドックで見ていればそれでも十分かと思います。
そして最後に、内服を始めたら、飲み忘れは極力ないように、自己中断や自己再開はしないよう、定期的に診察を受けて、決められた用法の分だけ薬を受け取るということです。

以上を遵守することで、便利で有用なオンライン診療を有効活用できるのです。

オンライン診療は、医療の進歩の一つだと思います。

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