VOL.6 不妊治療について

VOL.6 不妊治療について

不妊は昨今、女性の社会進出や、晩婚化によって、特に都心部ではよく耳にする現象となっていると思います。

私自身、35歳で不妊治療を開始し、36歳の時に出産を経験致しました。
不妊治療はまずその原因が何であるかを調べますが、原因不明の原発性不妊であることが多いです。また、一人目は自然妊娠したのだけれど、二人目がなかなかできないという人も結構います。妊娠には、まだ解明できない未知の領域が多くあるのです。
しかし、原発性不妊の場合でも30代であれば、体外授精をおこなえば最終的に妊娠できることが多いと思います。体外授精とは、お母さんから卵子を採取し、お父さんから精子をもらって振りかけることにより体外で受精させ、胚盤胞というその先胎児にまで成長していきそうな良質な授精卵をお母さんの子宮内に戻すというものです。
これによって、実はかなりの工程をショートカットできているのです。料理でいうと、ミールキットを思い浮かべて頂けると良いかもしれません。食事を選ぶ、買う、運ぶ、分ける、洗う、切るの工程がカットされ、混ぜて焼くだけで料理ができる。むしろ受精卵を子宮内に戻すというのは、料理をテーブルに運ぶという最後の部分だけと言ってもいいかもしれません。しかし、最後の最後で、テーブルの土台がしっかりしてないと運んだ食事は崩れてしまうのです。30代であれば、体外授精を数回繰り返せば、ほとんどの人が妊娠できます。
しかし40歳を超えると体外授精を繰り返しても妊娠率は頭打ちでなかなか難しくなってきます。それは、卵子の機能もそうですが、着床の問題や、さまざまな要因から自然の摂理であるのです。医学の進歩は自然の流れに逆らっているかもしれませんが、人間の欲は不可能を可能にしたいというところを実現させていくものであるため、そういう意味では結果、医学の進歩は人間にとって自然の流れなのかもしれません。

少し話が逸れましたが、本来40歳以降は妊娠する体ではないため、そこを無理に妊娠させるとやはりかなりの確率で出産も苦労することが多いです。
IVF(体外授精)妊娠が帝王切開率が高いのは結局そういうところからも来ていると思います。
現に私も帝王切開になりました。高齢初産のため、微弱陣痛、分娩停止となりました。予定日を過ぎても、子宮口が全く開いておらず、誘発4日間の末の帝王切開です。私としては、児頭骨盤不均衡(赤ちゃんの頭が大きくてお母さんの骨産道を通れない)の診断でもつけてくれた方が気が楽でした。分娩停止と言われると私の頑張りが足らなかったのではという気すら少ししてしまいます。
しかし、実際に元気に生まれてきてくれることが何よりですので、そこまでの過程はなんでもよかったのかもしれません。

私の話はさておき、早く妊娠が希望なのであれば、体外授精を早いうちからスタートするのが早道ではあると思います。現在は保険適応にもなったため、昔よりも取り組みやすいと思います。
タイミングやAIH(人工受精)などに2年費やしてからの体外授精へのステップアップは金銭的にも時間的にも疲弊度が高いことでしょう。得てして、不妊に相談にきている女性は妊娠に対して焦る気持ちのある人が多いかと思いますので、悠長にしてはいられないはずです。とは言っても医療側としてもなんでもかんでも体外受精という選択肢だけではないため、大まかな目安を持っています。

20代であれば、2年以上の不妊があればタイミングを数回行ってから人工授精へステップアップ。人工授精を3~6回行っても妊娠しなければ体外授精が目安です。
30~34歳はタイミングを3~4回、人工授精を3~4回して妊娠しない場合は体外授精へ。
35歳以上は、人工授精3~4回して妊娠しない場合は体外授精へ。
40歳以降は体外授精からでもいいかと思います。

当院では、人工授精や体外授精はできませんが、不妊に関する相談はいつでもできますのでお気軽にお話ください。

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