子宮頸がん検診の異常
子宮頸がん検診の細胞診でわかるのは下記です。
検査結果 | 細胞診結果補足 | 結果の説明 |
---|---|---|
NILM | 陰性 | 正常範囲内 |
ASC-US | 軽度の異型扁平上皮細胞 | 良悪性の区別がつきません。受診が必要です。 |
ASC-H | 高度の異型扁平上皮細胞 | 悪性変化の可能性が疑われます。受診が必要です。 |
LSIL | 軽度の扁平上皮病変 | 軽度の異常が見られます。受診が必要です。 |
HSIL | 高度の扁平上皮病変 | 高度の異常が見られます。早急に受診が必要です。 |
SCC | 扁平上皮癌疑い | 悪性の可能性があり早急な治療が必要です。 |
AGC | 異型腺細胞 | 子宮頸部の粘液を分泌する細胞に変化がみられ、 悪性変化の可能性があります。早急に受診が必要です。 |
AIS | 上皮内腺がん疑い | 悪性の可能性があります。早急に治療が必要です。 |
Adenoca. | 腺がん疑い | 悪性の可能性があります。早急に治療が必要です。 |
other | 他の悪性腫瘍疑い | 悪性の可能性があります。早急に治療が必要です。 |
ASC-USとは?
(Atypical Squamous Cells of Undetermined Significance)
=意義不明な異形扁平上皮細胞
細胞の形態が正常ではないが、異形成と診断するには細胞の異形変化が少ないと判断されたグレーな所見です。
がんが疑われているわけではなく、異形成が疑われている所見です。
ASC-USと診断された時
細胞の形が、少し正常と異なるものであったためそれが
- 炎症などにより正常細胞が少し形を変えただけのもの
- HPVに感染して形を変えたもの
なのかを区別する必要があります。
STEP1
ハイリスク型HPV(がんに進展する可能性のあるHPV)に感染しているかを調べる検査をします。
すでに当院で細胞診をおこなっている場合には、前回の検体が1か月以内であれば、同検体から追加検査が可能です。
その場合は、追加検査代がかかりますが、再度内診台に上がって検体をとる必要はありません。
- HPVハイリスク型が陽性の場合→子宮頸部組織診が必要です。(STEP2へ)
- HPVハイリスク型が陰性の場合→1年後の子宮頸がん検診を受けてください。
STEP2
HPVハイリスク型が陽性の場合、コルポスコピー下組織生検が必要です。
拡大鏡を使って、子宮頸部の様子を観察し、有意所見のありそうな場所から1-2㎜ほどの組織を採取します。
出血がありますが、そんなに痛くはないはずです。クスコをかける時が痛いですが、組織をとること自体はそんなに痛みはないと言われています。
組織結果が2週間ほどで出ますが、その結果によって今後の方針が変わります。
ASC-H、LSIL、HSILと診断された時。またはASC-USかつHPVハイリスク陽性の場合
軽度から高度の子宮頸部上皮内病変(CIN)が疑われるため、コルポスコピー下生検が必要です。
CINは,ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が関係していると言われます。
CIN の管理方法は、細胞診・組織診・コルポスコピーの結果 によって決めます。
CIN1 | 細胞診で6か月ごとフォロー |
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CIN2 | 細胞診と組織診で3か月ごとフォロー |
CIN3 | LEEP、円錐切除、蒸散術などの治療 |
- CIN2は消退する可能性が高い.特に30歳未満では消退しやすい.
- CINは癌ではない
- 生殖可能年齢の女性に多く発症する
そのため侵襲の少ない治療が望まれるとくに周産期予後を念頭に置く必要がある.
コルポスコピー下組織生検とは
コルポスコピーとは、顕微鏡の一種で子宮頚部子宮の入口を拡大して観察する検査です。
組織生検とは、拡大鏡(コルポスコープ)を用いて子宮頸部を拡大して観察し、病変がありそうな部分から1mm 四方ぐらいの組織を取り、病変の深さを調べる検査です。
「子宮頸がんの精密検査」と言われるもので、子宮頸がん検診の結果が異常であった場合に行います。顕微鏡で観察し、所見のありそうなところから生検します。
コルポスコピー検査:子宮頚部を拡大鏡(コルポスコープ)で拡大して観察する検査
組織生検:病変がありそうな部分から1㎜四方ぐらいの組織を取り、どの段階か確定診断する検査
Q&A
- 痛みはありますか?
子宮頸部は実は痛みを感じないと言われています。しかし、膣を観察するのにクスコという機械を入れて腟を広げる操作が少し痛いかと思います。
採血の時に麻酔を使用しないのと同じで、コルポスコピー検査の時も、一般的には麻酔を使うことはしません。必要としない程度の痛みであるとされているからです。
緊張しすぎないことが一番かと思います。
- 出血はありますか?
生検をするときに、パチッと組織の一部をとってくるため出血します。
止血確認をして、綿のタンポンを詰めて終了します。通常はすぐに出血は収まることがほとんどです。当日の運動やアルコール摂取、サウナなどの長風呂は避けてください。
稀ではありますが、万が一自宅に帰ってから大量に出血した場合には、大きな病院で止血を必要とする場合があるため救急車を呼んでください。
- この検査をするということは癌なのですか?
この検査をするということが、現在癌であるということではありません。
あくまで現在の状態、病気の進行度を確認するためのものです。
結果によって、フォローの頻度や内容が変わってきます。